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不動産会社を開業した後、「事業を広げたいのに融資を受けにくい」と悩む経営者は少なくありません。とくに仲介業は商品の仕入れがないため、銀行から資金使途を問われたときに説明が難しくなります。
私は不動産会社を開業して3年8か月が経ち、借入総額が1億円を超えました。内訳は、不動産取得のための6000万円と、会社を運営・成長させるための4000万円です。
この記事では、創業直後に金融機関から断られた経験から、どのように借入と返済の実績を積み、1億円を事業へ配分しているのかを整理します。
- 不動産仲介会社が融資を受けにくい理由
- 借入1億円の具体的な内訳
- 銀行から信用を得るために積み上げたこと
- 借金を成長資金に変えるための判断基準
- 不動産会社の開業後に融資を検討している方
- 運転資金の使い道を整理したい経営者
- 銀行との取引実績をどう作るか知りたい方
- 借入による事業拡大のリスクも理解したい方
不動産会社でも融資は受けられる|重要なのは借入額より使途と返済実績
借金は、金額だけを見て良い・悪いと判断できません。何に使い、どこから返済し、事業にどのような成果を残すのかまでセットで考える必要があります。
私の借入総額は1億円を超えていますが、高級車や私的な遊興費に使うための資金ではありません。不動産の取得、人材採用、店舗移転、システム開発、展示会、広告宣伝など、事業を進める目的に使っています。
借入額の大きさより先に確認すべきなのは、資金使途・返済原資・返済実績の3点です。
もちろん、事業に使えば必ず成功するわけではありません。返済義務が残る以上、成長投資の見込みと返済可能性を冷静に見積もることが前提です。
不動産仲介会社が運転資金を借りにくい2つの理由
不動産業と一口にいっても、売買、仲介、賃貸、管理など事業モデルは異なります。私が経験したのは、他人の物件を紹介し、仲介手数料を得る不動産仲介業です。
仲介会社が運転資金を説明しにくい背景は、大きく2つあります。
- 仕入れがなく「何に使う資金か」が見えにくい
- 創業年数・売上・利益の実績が不足しやすい
仕入れがなく「何に使う資金か」が見えにくい
花屋であれば、花を100万円で仕入れて150万円で販売するため、仕入れ資金の必要性を説明しやすくなります。一方、不動産仲介は自社で物件を仕入れず、他人の物件を仲介して報酬を得るモデルです。
銀行から見ると、「仕入れがないなら、なぜ資金が必要なのか」という疑問が生まれます。単に「運転資金が必要です」と伝えるだけでは、借入の目的が見えません。

店舗を構えたり、人を雇ったりする費用なら借りられるんですか?
看板や内装、採用など、使い道を具体的に説明できる費用は相談できます。ただ、何のイベントもない状態で運転資金だけを求めても説明しにくいんです
看板、内装、人件費、移転、広告など、必要な金額と使途を見積もりまで含めて示せるかが重要です。開業時に必要な費用を整理したい方は、不動産独立開業にかかる資金の内訳も先に確認しておくと、設備資金と運転資金を分けやすくなります。
創業年数・売上・利益の実績が不足しやすい
創業1期目、私は一つの金融機関から小額の融資を受けました。2期目に港区へ移転した際は5つほどの金融機関を回りましたが、不動産会社であること、創業年数、売上規模などを理由に断られています。
当時は厳しいと感じましたが、銀行が確認できる決算実績が少ない時期でもありました。創業間もない会社が借りにくいのは、会社の将来性だけでなく、返済を裏付ける過去の数字が不足しているからです。
融資を受ける準備は、申込書を書く直前ではなく、毎期の決算・納税・返済から始まっています。
借金1億円の内訳|不動産取得6000万円・運転資金4000万円
現在の借入は、一つの目的にまとめて使っているわけではありません。資金の性格は、次の2つに分かれます。
| 区分 | 金額 | 主な使途 |
|---|---|---|
| 不動産取得のための融資 | 約6000万円 | 4件の不動産購入 |
| 会社の運転資金 | 約4000万円 | 人材、移転、システム、展示会、広告宣伝など |
4件の不動産取得に6000万円
私は4件の不動産を所有しており、すべて現金で購入したわけではありません。銀行から合計約6000万円を借り、不動産の取得費用へ充てています。
不動産取得のために借りた資金は、その目的に沿って物件購入へ使います。購入後は家賃収入から返済を進めながら、時間をかけて資産を積み上げる設計です。
私は店舗・事務所を専門に扱っているからこそ、自ら物件を所有し、管理・運営する経験も重要だと考えています。大家側の判断や負担を理解することが、仲介実務の深さにもつながるからです。
約6つの金融機関から運転資金4000万円
残る約4000万円は、一つの金融機関からまとめて借りたものではありません。約6つの金融機関と取引し、それぞれの融資を合計した金額です。
資金は、自社で使う出店支援ツールの開発、人材採用、路面店舗への移転、展示会、広告宣伝などに使っています。ツール開発だけでも約200万円を投じました。
「事業を成長させたい」だけでなく、何にいくら使い、売上へどうつなげるかまで具体化して初めて、運転資金の説明になります。
銀行から借りられる会社になる4つの積み上げ
創業直後に断られた状態から取引を広げられた背景には、一度の交渉術ではなく、毎期の積み上げがあります。
- 黒字を続ける
- 利益を残し、納税する
- 資金使途を具体化する
- 借入と返済の実績を積む
黒字を続ける
私は初年度から黒字を維持してきました。2期目はぎりぎりの黒字でしたが、3期目は利益を大きく伸ばしています。
黒字であれば自動的に融資が通るわけではありません。ただ、返済可能性を説明するうえで、赤字を避け、事業で利益を生み出してきた実績は重要な土台になります。
利益を残し、納税する
売上だけを増やすのではなく、利益を残し、納税して、純資産を積み上げることを重視しました。過度な節税で利益を小さく見せ続けると、融資を受けたい場面で返済力を説明しにくくなります。
節税額だけを見るのではなく、将来の資金調達まで含めて決算を設計する視点が必要です。
資金使途を具体化する
設備、人材、システム、移転、展示会、広告など、成長に必要な投資を項目ごとに分けます。金融機関へ相談するときは、金額、実行時期、見積もり、売上へのつながりまで説明できる状態が理想です。
借りやすそうな名目を後付けするのは本末転倒です。実際に必要な投資を洗い出し、その計画に合う融資を相談します。
借入と返済の実績を積む
最初から大きな金額を借りられたわけではありません。小さな取引から始め、約束どおりに返済する実績を積み上げました。
複数の金融機関と取引する際も、他行からの借入額や返済予定を隠さず、全体の返済計画を示しています。私の経験では、他行との正常な取引実績が第三者評価として見られ、次の相談につながる場面がありました。
これはどの会社にも同じ結果が出るという意味ではありません。金融機関の方針、会社の所在地、業績、担保、代表者保証などによって判断は変わります。
借金は成長の道具になるが、返済責任と怖さは消えない
借入によって打てる施策は増えました。しかし、1億円という数字を言葉にした瞬間、私自身も怖さを感じました。

正直、借金が1億円あるのは怖くないですか?
めちゃくちゃ怖いです。止まれない機関車のように、燃料を入れながら走り続けなければならない感覚があります
不安が消えたわけではなく、年に一度ほど「本当に大丈夫か」と考え込む時期もあります。さらに、借入のうち約8500万円には個人保証があるため、会社だけの問題として切り離すこともできません。
だからこそ、借りられる上限まで無条件に借りるのではなく、返済後に何が残るかを考えます。設備、仕組み、人材、収益不動産など、事業の稼ぐ力や資産につながる使い道でなければ、借金はただの固定負担になります。
成長投資としての借入は、返済責任を引き受け、止まった場合のリスクまで見たうえで選ぶものです。
よくある質問
Q不動産会社は信用金庫・地方銀行・メガバンクのどこへ相談すべきですか?
金融機関によって、不動産業への姿勢や対象とする企業規模は異なります。私の場合、創業初期は信用金庫が相談先になりました。
所在地近隣の金融機関を含めて複数へ相談し、自社の業種・創業年数・売上規模に対応できるかを確認してください。金融機関の種類だけで決めず、担当者へ事業内容と資金使途を具体的に伝えることが先です。
Q自宅で不動産会社を開業すると融資は受けられませんか?
自宅開業だけを理由に、融資を受けられないと断定はできません。私は不動産開業の初期段階では、自宅から始める選択肢も現実的だと考えています。
一方、事業が軌道に乗った後に事務所や路面店舗を構えると、「ここで実際に営業している」という実態を確認してもらいやすくなります。移転の時期は見栄ではなく、売上と固定費のバランスで判断してください。
Q不動産取得資金を借りて、物件を買わずに手元へ残せますか?
物件取得を目的に借りた資金は、対象となる不動産の購入へ充てます。自由に使える運転資金とは分けて管理する必要があります。
私の約6000万円も、4件の不動産購入に使いました。融資を申し込む前に、物件、購入金額、返済原資を明確にし、金融機関の条件を確認してください。
Q複数の金融機関から借りると、次の融資で不利になりますか?
複数行との取引が直ちに不利になるとは限りません。私の場合は、他行との借入と正常な返済実績が、次の相談で第三者評価として見られる場面がありました。
ただし、借入残高や返済予定を隠さず、全体の資金繰りを説明できることが前提です。取引先を増やすこと自体を目的にせず、返済管理の手間まで含めて判断します。
Q個人保証なしで1億円を借りられますか?
今回の事例では、約1500万円は個人保証なしですが、残る約8500万円には個人保証があります。借入1億円のすべてが無保証ではありません。
保証の要否は、融資制度、会社の財務内容、資金使途、金融機関の審査などで変わります。今回の数字を一般化せず、契約条件と個人が負うリスクを確認してから判断してください。
まとめ:融資は使途・返済原資・信用のセットで判断する
不動産仲介会社は仕入れがないため、運転資金の必要性を説明しにくい事業です。それでも、使途を具体化し、黒字・利益・納税・返済の実績を積めば、相談できる選択肢は広がります。
「いくら借りられるか」より、「何に使い、どこから返し、返済後に何を残すか」を先に決めることが重要です。
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