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不動産エージェントの集客では、ThreadsをはじめとするSNSも有力な入口になりました。ポータルサイトだけに頼らず、自分の発信から相談につなげる考え方そのものは間違っていません。
しかし、反響を取るために金額を誤認させたり、紹介できない物件から別物件へ誘導したりすれば、短期的に問い合わせが増えても顧客の信頼を失います。
私も実際の投稿を見て問い合わせたところ、表示された物件はすでに紹介できず、類似物件の提案へ切り替わりました。さらに、仲介手数料を抑える代わりに別の契約や業務負担が付く事例もあります。
この記事では、動画で取り上げたThreads投稿をもとに、不動産エージェントが避けるべき集客手法と、発信前に確認したい実務項目を整理します。
- SNS物件投稿で誤解を招きやすい3つの手口
- おとり広告かどうかを考える際の基本条件
- 仲介手数料無料でも総額確認が必要な理由
- 不動産エージェントが投稿前に確認する5項目
- SNSで物件集客を始めたい不動産エージェント
- エージェントを募集・管理している不動産会社の経営者
- ThreadsやInstagramで賃貸物件を探している方
- 安さを打ち出す集客に不安がある方
結論:SNS集客は反響数より取引条件の透明性が先
SNS集客で最初に優先すべきなのは、投稿の表示回数でも問い合わせ件数でもありません。表示した条件と、問い合わせ後に案内する条件が一致していることです。
物件の魅力を短い言葉で伝える工夫は必要です。ただし、家賃に見える位置へ初期費用を書いたり、「安く入れる」とだけ伝えて家賃を伏せたりすれば、読者は実際より有利な条件だと受け取りかねません。
集客の入口で生じた小さな違和感は、申込、契約、入居後の不満へつながります。反響を増やす前に、次の4点を説明できる状態にしておく必要があります。
- 表示金額が何の費用か
- 物件を現在も紹介できるか
- 仲介手数料以外に必須の契約があるか
- 内見方法に所有者・管理会社の許可があるか
SNSは信頼を積み上げる道具にも、削る道具にもなります。私たちは、投稿のうまさではなく、問い合わせ後まで説明が一貫しているかで集客品質を判断するべきです。
Threads事例で見えた避けるべき3つの集客手口
私は、Threads上の物件投稿と、実際に問い合わせた結果を照合しました。問題は「SNSを使ったこと」ではなく、表示と取引実態の間にあるズレです。
ここでは、投稿者や会社を特定せず、同じ失敗を避けるための3つの手口として整理します。
1. 家賃と初期費用を混同させる価格表示
動画で確認した投稿には、「9.2万円で入居できる世田谷の新築」と読める表現がありました。画像だけを見ると、家賃9.2万円の物件だと受け取る人もいるでしょう。
実際に続きの投稿を読むと、9.2万円は初期費用で、家賃と共益費の合計は月約20万円でした。別の投稿でも「渋谷で一人暮らしするのに安く入れる」としながら、初期費用は13.9万円、家賃と共益費は月約70万円という条件でした。
安さを打ち出すなら、金額だけでなく「家賃」「初期費用」「共益費込み」などの名目を同じ視界で示すことが必要です。

初期費用が安いなら、利用者にとって得な面もあるんじゃないですか?
初期費用の安さには顧客メリットがあります。何が安くて、毎月いくら払うのかを最初から同じ条件で見せることが大切です
初期費用だけを強調すると、読者は月額費用まで安いと誤解する可能性があります。投稿から問い合わせへ進ませるためのコピーほど、条件の省略ではなく比較しやすさを優先しましょう。
2. 取引できない物件から別物件へ誘導する
私は、投稿から約6時間後に掲載物件について問い合わせました。返答は「すでに入居者が決まっている」というもので、その後に初期費用を抑えた別物件を提案されました。
人気物件が短時間で決まることはあります。したがって、問い合わせ時に成約済みだったという事実だけで、直ちにおとり広告とは断定できません。
一方で、紹介できない物件の表示を続け、問い合わせた人へ合理的な理由なく別物件だけを勧める運用には注意が必要です。消費者庁は、不動産のおとり広告について「実際には取引できない物件」や「実際には取引する意思がない物件」の表示を不当表示の対象として示しています。

問い合わせた時には決まっていた、というケースもありますよね?
その可能性はあります。だからこそ掲載時刻、成約確認、広告停止、別物件へ切り替える理由を記録できる運用が必要なんです
不動産会社側は、募集終了を確認したら速やかに投稿を止める仕組みを持つべきです。SNS担当者と物件確認担当者が分かれている場合も、更新責任を曖昧にしてはいけません。
3. 「手数料無料」の裏で別費用・業務省略を条件にする
仲介手数料を無料または低額にする事業モデルは成立します。広告料や別の収益源があり、顧客へ条件を明確に説明できる場合もあります。
ただし、仲介手数料を抑える代わりに指定の電気・Wi-Fiを契約し、月額費用が高くなるという関連事例も確認しました。初期費用が安くても、入居後の固定費が増えれば総支払額は逆転します。
また、顧客自身で内見してもらう代わりに手数料を下げるという案内も取り上げました。セルフ内見は、所有者・管理会社の正式な許可、本人確認、鍵の受け渡し、事故時の責任まで設計されていることが前提です。

仲介手数料を取らないなら、どこで利益を得るのかは確認した方がよさそうですね?
そうですね。無料という言葉だけで決めず、必須契約と毎月の費用を含めた総額で比べてください
顧客が支払う費用を別名目へ移しただけなら、「無料」の印象だけで比較させないことが重要です。不動産エージェント側も、自分の報酬だけでなく顧客の契約全体を説明できる状態にしましょう。
悪質な集客が広がる3つの構造
問題のある投稿を個人のモラルだけで片づけると、同じ手法が繰り返されます。背景には、集客競争、成果報酬、教育不足という3つの構造があります。
- ポータルとSNSの競争激化
- 成果報酬で接触件数を優先しやすい
- 所属会社の教育・監督が弱い
ポータルとSNSの競争激化
以前よりポータルサイトへ掲載する会社が増え、同じ物件情報だけでは反響を得にくくなりました。そこでSNSへ移り、短い言葉や強い画像で注目を取ろうとする動きが広がっています。
SNSで発信すること自体は有効です。実際、飛び込み営業だけに頼らず問い合わせを積み上げるには、YouTube、MEO、SEO、SNS、紹介を組み合わせる必要があります。
営業しない集客を作る5つの仕組みでも解説しているように、長期的な集客は一度きりの釣り投稿ではなく、顧客が比較・検討できる情報の蓄積から生まれます。
成果報酬で接触件数を優先しやすい
不動産エージェントは、契約が成立しなければ報酬が発生しない成果報酬型も少なくありません。そのため、まず連絡先を得ようとして、条件を強く見せる誘惑が生まれます。
しかし、接触件数が増えても、問い合わせ後に「話が違う」と思われれば成約率も紹介率も下がります。成果報酬だからこそ、最初の接点から信頼を損なわない設計が必要です。
広告費をかける前に知識へ投資する重要性は、不動産集客で広告費500万円を使った失敗談でも整理しています。媒体やコピーだけを変えても、顧客理解と商品設計が弱いままでは反響は資産になりません。
所属会社の教育・監督が弱い
業務委託のエージェントを増やしても、広告表示、物件確認、費用説明、内見手順を教えなければ、各自が自己流で集客する状態になります。
会社側が「契約さえ取れればよい」という管理をすると、短期の売上と引き換えに免許業者全体の信用を落とします。投稿テンプレートだけでなく、公開前チェック、募集終了時の削除、問い合わせ対応の記録まで教育に含めるべきです。
不動産エージェントが集客前に確認する5項目
SNS投稿は、公開ボタンを押す前の確認で事故を減らせます。担当者個人の感覚ではなく、次の5項目を会社の標準にしてください。
- 物件が現在も取引可能か
- 金額の名目と対象期間を明記したか
- 必須の付帯契約を含む総支払額を説明できるか
- 内見方法と鍵管理に正式な許可があるか
- 投稿・問い合わせ・成約不能時の記録を残せるか
物件確認では、募集中かどうかだけでなく、誰がいつ確認したかを残します。投稿後も定期確認し、募集終了なら速やかに削除・訂正する担当を決めましょう。
価格表示では、家賃、共益費、初期費用、仲介手数料、付帯契約を分けます。「安い」「無料」と書く場合は、何と比べて、どの費用が、どの期間だけ安いのかまで説明します。
内見では、鍵番号を知っていることと、顧客へ共有する権限があることを混同してはいけません。所有者や管理会社が承認した正式な運用、本人確認、入退室記録、鍵の再施錠、事故対応を確認してください。
この5項目を投稿ごとに記録できれば、反響を増やしながら説明責任も守れます。 記録できない集客手法は、会社として採用しない判断が必要です。
部屋を探す人がSNS投稿で確認する4つのポイント
ThreadsやInstagramで魅力的な物件を見つけたら、安さだけで問い合わせ先を決めないでください。申込前に4つの条件を確認します。
- 表示金額が家賃・初期費用・一部費用のどれか
- 仲介手数料以外の必須契約がないか
- 問い合わせ物件を実際に紹介できるか
- 内見方法と契約条件を書面で確認できるか
「初期費用○万円」なら、その内訳と翌月以降の家賃を確認します。「仲介手数料無料」なら、電気、ガス、通信、サポート、保証会社などの指定契約と解約条件を確認します。
問い合わせ物件が成約済みなら、いつ成約したのか、投稿をいつ停止するのか、なぜ別物件を勧めるのかを聞きましょう。説明を急がせる会社より、条件を書面で比較できる会社を選ぶ方が安全です。
国土交通省も、不動産業者が売る意思のない物件を広告して別物件を勧める「おとり広告」や、実在しない物件などの虚偽広告に注意を呼びかけています。
表示された安さではなく、契約後まで含めた総額と取引手順で比較してください。
よくある質問
Q問い合わせ直後に成約済みなら必ずおとり広告ですか?
必ずしもそうとは限りません。人気物件が投稿後すぐに決まったり、広告停止まで時間差が生じたりすることはあります。
判断する際は、掲載時点で取引可能だったか、募集終了後も表示を続けていないか、その物件を取引する意思があったかを確認します。消費者庁の不動産のおとり広告に関する表示では、実際に取引できない物件や取引する意思がない物件の表示が対象として示されています。
Q仲介手数料無料は違法ですか?
仲介手数料を無料にすること自体を、この記事では問題としていません。物件側から支払われる広告料など、別の収益で成り立つ場合もあります。
確認したいのは、無料の条件と総支払額です。電気・通信・サポート等の指定契約、短期解約違約金、退去時費用まで含め、他社の見積もりと同じ期間で比較してください。
Q電気やWi-Fiの指定契約は断れますか?
断れるかどうかは、物件やサービスの契約条件によって異なります。申込前に、利用が必須か、別事業者を選べるか、月額、最低利用期間、解約金を確認してください。
説明と契約書が一致しない場合や、判断を急かされる場合は、その場で申し込まず、消費生活センターなどへ相談する選択肢があります。
Q顧客だけで内見する方法はすべて問題ですか?
一律に問題とはいえません。セルフ内見を正式なサービスとして設計し、所有者・管理会社の許可、本人確認、入退室管理、鍵管理、事故時の連絡方法を整えているケースもあります。
一方、誰の許可で鍵情報を共有するのか説明できない場合は進めないでください。仲介会社名、管理会社名、内見日時、鍵の扱いを事前に書面で確認しましょう。
QSNS物件投稿を見たら何を保存すべきですか?
投稿URL、投稿日・確認日時、スクリーンショット、物件番号、表示金額、費用条件を保存します。問い合わせ後は、相手の会社名、担当者名、返答日時、紹介可否、別物件を勧められた理由も残してください。
投稿が削除された後でも、表示と説明の違いを整理しやすくなります。個人情報をSNSへ公開せず、相談窓口へ提示するための記録として保管しましょう。
Q問題のある不動産広告はどこへ相談できますか?
契約や勧誘のトラブルは消費生活センター、宅地建物取引業者の対応は免許を所管する国土交通省または都道府県の宅建業窓口、不動産広告の表示は地域の不動産公正取引協議会が候補です。
まず、国土交通省の不動産取引に関する案内で相談先を確認し、保存した投稿とやり取りを用意してください。緊急性や契約状況に応じて、弁護士等の専門家へ相談することも検討します。
まとめ:信頼を削る集客は長期の営業資産にならない
ThreadsのようなSNSは、不動産エージェントが顧客と出会う有効な場所です。ただし、反響を取るために取引条件を曖昧にすれば、投稿が伸びても営業資産は残りません。
良い集客とは、問い合わせを増やすことではなく、説明どおりの取引へつなげることです。 私自身も、発信する側として安さや強い言葉に頼らず、業界全体の信頼を高める情報を届けていきます。
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