本記事では、多くの個人不動産屋が無意識に辿ってしまう「倒産・廃業への典型的な8つのステップ(ロードマップ)」と、その失敗ルートを回避し、長期的に安定して稼ぎ続けるための「3つの行動原則」を解説します。なぜ安易なネット集客や手数料無料化が命取りになるのか? 私自身の失敗経験も交えながら、不動産開業のリアルな生存戦略をお伝えします。

なぜ多くの個人不動産屋は失敗するのか?

近年、不動産開業は非常にハードルが低いビジネスとなりました。宅建免許を取得し、200万〜300万円程度の資金があれば誰でも始められるからです。

しかし、その手軽さゆえに、安易な集客手段に頼ってしまい、結果的に廃業や倒産に追い込まれるケースが後を絶ちません。

実際に、不動産市場では倒産ニュースが非常に増えており、その多くが「集客戦略のミス」と「資金の枯渇」によって引き起こされています。

私も独立した当初は、集客に非常に苦労しました。店舗専門というニッチな市場を攻めたにもかかわらず、独立後1年間はホームページからの問い合わせが3件という時期を経験しています。

この私の失敗経験も踏まえ、これから私が解説する「倒産ロードマップ」は、多くの開業者が無意識に辿ってしまう典型的な失敗ルートです。

資金と時間の不足、そしてメンタルの疲弊によって、多くの個人不動産屋が辿ってしまう典型的な失敗のステップがあります。このロードマップを知ることで、私たちと同じ轍を踏まないでほしいと思います。

くっつー

不動産開業はハードルが低いからこそ、正しい戦略がないとすぐにレッドオーシャンに飲み込まれることになる

  • 不動産開業に必要な資金は200万〜300万円程度と低く参入しやすい
  • 参入しやすい分、競争激化と資金ショートによる失敗が増加している
  • 多くの失敗は、楽な集客に頼り「長期的視点」を欠くことから生まれている

個人不動産屋が倒産に至る8つのロードマップ(王道ルート)

資金と時間の不足、そしてメンタルの疲弊によって、多くの個人不動産屋が辿ってしまう典型的な失敗のステップがあります。具体的には以下の8つです。

  1. 楽な「他社物件のネット掲載」に依存し集客ゼロ
  2. 「新築・建て売り住宅の仲介」で不良在庫と化す
  3. 高額な「集客目的のホームページ」を制作し資金消耗
  4. 「仲介手数料無料」で集客を狙うも薄利多売で疲弊
  5. 「SNS集客」に手を出すが時間がかかり諦める
  6. 最終手段「飛び込み・チラシ」で芽が出るもメンタル崩壊
  7. 「副業・アルバイト」を開始し本業が疎かになる
  8. 【倒産】ではなく「不動産業の放置」で終了

1. 楽な「他社物件のネット掲載」に依存し集客ゼロ

まず開業したての不動産屋が最初に着手するのは、他社が預かっている物件(たき物件)をネットに掲載して集客することです。これは非常に簡単で、誰でもできる集客方法です。

しかし、この方法の落とし穴は、ネット上で同じ物件が10件、20件と並んでしまうことです。オーナー様は、数ある不動産屋のなかから、実績や信頼度の高い大手を選ぶほうが自然です。結果的に、広告費だけを支払い、集客はゼロとなり、早々に資金を浪費してしまいます。

くっつー

この段階で泥臭い営業から逃げると、資金を失うため後々苦しくなる

  • 誰でもできるネット広告は競争が激しく、大手に勝てない
  • 広告費が非常に高額なため、集客ゼロはそのまま資金ショートにつながる
  • たき物件に頼ることは、独自の資産にならない

2. 「新築・建て売り住宅の仲介」で不良在庫と化す

ステップ1で失敗すると、次に新築の建て売り住宅不動産の仲介に手を出す方が多くいます。しかし、近年は資材や人件費の高騰によって、新築住宅の価格が値上がりし、中古志向へのシフトが進んでいます。

私が把握しているかぎりでも、新築の建物は売れなくなっています。その結果、仲介を請け負ったとしても売れ残り、不良在庫となってしまいます。

集客しても売れなければ、当然ながら利益は立たないため、ここでも資金ショートは回避できません。

3. 高額な「集客目的のホームページ」を制作し資金消耗

開業から1か月前後が経過し、ホームページが完成するこのとき、多くの開業者は100万円以上を投じ、さらに月々3万円のサブスク費用を払い続けます。しかし、ここも罠です。

ホームページは、本来「集客」を目的とするものではありませんあれは「ブランディング」であり、オーナー様やクライアントからの信用力を高めるためのものです。私も独立当初、手作りのホームページでは1年間で問い合わせが3件しかありませんでした。ホームページを作ったからといって、すぐにお客様は来ないことを理解しなければなりません。

くっつー

ホームページは名刺代わりであって集客の飛び道具ではないことを理解していない方が多い

  • ホームページはブランディング(信用力)のために作るもの
  • 作っただけでは検索上位に表示されないため集客はできない
  • 私もリニューアルによって3か月で42件の問い合わせに変わった経験がある

4. 「仲介手数料無料」で集客を狙うも薄利多売で疲弊

大手不動産に勝てないため、「仲介手数料無料」を打ち出して集客を狙う人が現れます。これは、サービスを提供してもお金をいただかないという、大手の戦い方です。

確かに集客はできるかもしれません。しかし、薄利多売となり、非常に厳しい経営を強いられます。

資金力が乏しい個人不動産屋が、この消耗戦に耐えられるはずはありません。結果、疲弊して事業が厳しくなっていきます。

5. 「SNS集客」に手を出すが時間がかかり諦める

薄利多売に疲弊し、新しい集客手法としてSNSに目を向けることは、視点として素晴らしいことです。しかし、SNSで芽が出ることは短距離走ではありません。半年、1年と時間がかかるものです。

多くの開業者は、資金がショートする焦りから、SNS運用会社に運用を依頼し、月に30万円などの費用をかけてしまいます。結果、時間がかかることで諦めてしまう、あるいは資金が枯渇してやめることになります。

6. 最終手段「飛び込み・チラシ」で芽が出るもメンタル崩壊

ネット広告、ホームページ、SNSと、楽なほうから手をつけて集客がゼロになると、ようやく「飛び込み営業」や「チラシのポスティング」など、泥臭いことをし始めます。

このときになってようやく小さな成果(家を売りたい人など)が出始めます。しかし資金は底をつき、時間もなく、これまで楽な集客に慣れてしまったため泥臭い営業でメンタルが持たなくなってしまいます。

結果、せっかく芽が出たときに事業を継続できなくなってしまうのです。

7. 「副業・アルバイト」を開始し本業が疎かになる

資金が尽き始めると目先の利益を追い求めるために、副業やアルバイトを始めることになります。これは一時的には資金を補うことはできるでしょう。

しかし、やがてアルバイトのほうがメインの収入源になってしまい、時間を使う割合が不動産業よりも増えてしまいます。こうなると不動産業が「副業」のような位置づけになってしまい、おろそかになります。

8. 【倒産】ではなく「不動産業の放置」で終了

不動産業は、事務所を自宅にすれば家賃はゼロ、免許更新費用も年間7万円程度で済みます。ランニングコストが非常に低いため多額の負債を抱えて倒産することなく放置」という形で実質的な廃業を迎えます。

これが多くの個人不動産屋が辿る典型的な「倒産ロードマップ」の終着点です。事業を畳むこともなく、かといって軌道に乗ることもなく時間を浪費し続けてしまうものなのです。

くっつー

多額の負債を抱える倒産ではなく、ランニングコストの低さから放置という形で終了するケースがほとんどである

  • 資金やメンタルが持たなくなり、副業のほうがメインとなる
  • 不動産業のランニングコストは非常に低いため、明確な倒産に至らない
  • 事業を放置したまま、時間だけが過ぎていくことが最も多い結末である

不動産開業の失敗ロードマップから脱出する3つの原則

この失敗のロードマップに乗らないためには、典型的な集客に手を出すことをやめ、正しい行動原則を実行することが不可欠です。

私が独立してから成果を出せたのは、以下の3つの原則を愚直に実行したためです。

  1. とにかく「汗をかけ」(泥臭い営業の重要性)
  2. 長期視点で「種を蒔け」(時間のかかる集客の先行投資)
  3. 成功者の経験から「道を描け」(戦略と専門性の確立)

1. とにかく「汗をかけ」(泥臭い営業の重要性)

ロードマップを見ると、多くの人が「お金を払って待つ」という楽なほうに流れています。これは汗をかいていません。泥臭いことをするべきです。

私は、飛び込み営業やチラシのポスティングなど、誰でもできることを徹底的にやり続けました。

今でこそ紹介での仕事がメインですが、あのときの泥臭い営業があったからこそ、今の私があるはずだと断言できます。お金で解決できることから逃げず、まずは自分の足と声で汗をかくことを意識してください

2. 長期視点で「種を蒔け」(時間のかかる集客の先行投資)

ステップ5のSNS集客のように、多くの方が成果の出ないときに長期的なものに手をつけ、すぐに諦めてしまいます。しかし、種を蒔くことは、目先の利益よりも重要です。

成果が出るまでに半年、1年と時間がかかるもの(SNS、YouTube、SEO対策をしたホームページなど)を、開業した瞬間から先に手をつけておくべきです。今すぐ100万円の利益を追うことよりも、今は0円でもいずれ1,000万円、2,000万円と爆発的に成長する「種」を育てるほうが、長期的にみて成功に繋がります

3. 成功者の経験から「道を描け」(戦略と専門性の確立)

この3つの原則で、最も大事なものが「道を描け」です。

ロードマップの失敗者は、「流行っているから」「みんながやっているから」という行き当たりばったりの理由で、住宅や仲介手数料無料のほうに進んでしまいます。

これは「道」を間違っているため、どれだけ努力しても実らないことがほとんどです。

私が「店舗専門」という道を描いたように、まずどこを歩むのか(戦略)を決めること。そして、その正しい道は、すでにうまくいっている人(成功者)の話を聞くことが最も早いため、ぜひそうした機会を積極的に活用してほしいです。

くっつー

努力をしても道を間違えたら、その努力は報われないことを私は身をもって知っている

  • 道を描くことは、どの集客手段を選ぶかという戦略を明確にすることである
  • 周りがやっているから、という理由で安易な住宅不動産市場に手を出さない
  • 正しい道は、うまくいっている人の話を聞くのが最短ルートである

まとめ:不動産開業の失敗は「道筋」を知ることで回避できる

不動産開業は、手軽に始められることから、多くの人が「楽なほう」を選んでしまいます。その結果、資金と時間を無駄にし、最終的には負債を抱える倒産ではなく「放置」という形で事業を終えてしまうことが、最も典型的な失敗の結末です。

この失敗のロードマップを知ることで、あなたは周りが陥る罠を回避できます。そして、「汗をかけ」「種を蒔け」「道を描け」という3つの原則を実行に移してください。

特に「道を描け」は、あなたのビジネスの方向性を決め、すべての努力を成果に繋げるためのセンターピンとなります。

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