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店舗物件を探している企業へ「ポータルサイトを見てください」と案内するだけでは、店舗仲介の価値は伝わりません。
今回対談したのは、買取フランチャイズ「つなぐ屋」を展開する株式会社カイトル代表の森本社長です。収録時点で催事52店舗、実店舗2店舗を運営し、フランチャイズには17〜18社が加盟しています。
それでも実店舗を増やそうとすると、ネットに物件が出ていない、街で見つけてもすでに埋まっているという壁にぶつかっていました。
私は店舗仲介を専門にする中で、募集が表へ出る前に候補が決まる場面を何度も見てきました。出店企業へ継続的に提案するには、公開物件を検索する力だけでなく、出店条件を理解し、早い段階の情報へ接点を持つ力が必要です。
この記事では、多店舗展開する企業が店舗物件探しで困る理由と、店舗仲介を行う不動産会社が準備すべきことを、森本さんとの対談から整理します。
- 多店舗展開する企業でも店舗物件を探しにくい理由
- 催事型と固定店舗で求める物件が変わること
- 出店企業が店舗仲介会社に求める3つの力
- 公開物件待ちから抜けるための準備
- 店舗仲介で独立・開業したい人
- 出店企業へ物件を提案したい不動産会社
- ポータル検索以外の物件情報を増やしたい人
- 多店舗企業の出店条件を理解したい人
店舗物件の探し方は公開情報だけでは追いつかない
店舗物件探しで最初に押さえたいのは、検索サイトに出ている情報が市場のすべてではないことです。
住居と違い、店舗は既存テナントの営業、退去時期、次の出店者の調整が並行します。募集が広く公開される前に、仲介会社や出店企業のネットワーク内で話が進むことがあります。
くっつー: 実店舗を増やす中で、物件はどう探していますか?
森本さん: 店舗を専門に扱う仲介会社へ相談しています。ネットではほとんど見つからず、街で見つけても、すでに埋まっていることが多くて困っています
くっつー: 店舗は退去予告から実際に空くまでの間に決まることがあります。足で探すだけでは、どうしても限界があります
空き看板が出てから動くと、すでに別の候補者が交渉していることもあります。だからこそ、仲介会社は「空いている物件を探す」だけでなく、空く可能性のある物件や出店計画を早めにつなぐ必要があります。
店舗物件の提案力は、検索件数ではなく、公開前の情報へどれだけ早く接点を持てるかで変わります。
案件が生まれてから成約するまでの動きを具体的に知りたい方は、閉店情報から店舗仲介を成約へつなげた実務工程も確認してみてください。
催事52店舗・実店舗2店舗は役割の使い分けで成り立つ
出店企業を理解するには、「何店舗ほしいですか」と数だけを聞いても足りません。どの形で顧客と接点を作り、店舗に何を求めているかまで確認する必要があります。
買取フランチャイズ「つなぐ屋」では、商業施設、スーパー、ショッピングモールなどの催事区画を活用し、収録時点で催事52店舗を展開していました。固定の実店舗は2店舗、フランチャイズ加盟は17〜18社で、今後は実店舗をさらに増やす計画です。
くっつー: 催事と実店舗は、どのように使い分けていますか?
森本さん: 催事は1日や1週間単位で場所を借りられ、お客様に足を運んでもらいやすいです。ただ、地域で長く愛される店をつくるなら、実店舗の方が取り組みやすいと考えています
催事型なら、広い常設区画でなくても営業機会を作れます。実店舗には、地域での認知や継続的な接点を作りやすいという役割があります。
同じ会社でも、短期の営業拠点と地域密着の常設店では、物件へ求める広さ・期間・立地が変わります。
仲介側が一つの出店形態だけを前提にすると、提案できる物件を自ら狭めてしまいます。現在の出店形態と、これから増やしたい形態を分けて聞くことが重要です。
出店企業が店舗仲介に求める3つの力
森本さんの話から見えるのは、出店企業が仲介会社に求めているのが、物件検索の代行だけではないことです。
特に重要なのは、次の3つです。
- 公開前の物件情報へ接点を持つ
- 出店条件と事業モデルを理解する
- 一度の紹介で終わらず継続提案する
1. 公開前の物件情報へ接点を持つ
店舗物件は、退去前の段階から次の入居候補を探すことがあります。仲介会社が管理会社、物件オーナー、同業者と日常的に情報交換していれば、募集開始を待たずに出店企業へ相談できます。
これは未確認情報を急いで流すという意味ではありません。退去時期、募集条件、内見可能日などを確認し、提案できる状態へ整えることが必要です。
未公開情報の価値は「早いこと」だけではなく、出店企業が判断できる条件まで確認されていることにあります。
2. 出店条件と事業モデルを理解する
同じ買取店でも、催事区画と実店舗では必要な条件が変わります。短期利用か常設か、商業施設内か路面か、駅からの距離を優先するかを理解せず、所在地と賃料だけで提案しても判断されません。
最初のヒアリングでは、希望エリア、面積、賃料だけでなく、出店形態、利用期間、開業時期、顧客の来店方法まで確認します。
条件表を埋めることが目的ではなく、その企業が店舗でどう売上と信頼を作るのかを理解することが目的です。
3. 一度の紹介で終わらず継続提案する
多店舗展開する企業の出店は、一件で終わりません。今回合わなかった物件でも、別エリアや別の出店形態なら提案できる可能性があります。
紹介後に見送り理由を確認し、次の提案条件へ反映すると、情報の精度が上がります。「駅から遠い」「区画が広すぎる」「引き渡し時期が合わない」など、判断理由を次の検索条件へ変えることが大切です。
継続提案では、物件数よりも、見送り理由を学習して次の精度を上げることが信頼につながります。
仲介会社はテナント企業の出店計画まで聞く
物件条件だけを聞くと、仲介会社は検索担当で終わります。出店の目的と計画まで理解すると、候補が少ない時点でも提案の方向を変えられます。
今回の対談では、森本さんが人材関連の事業を行う中で、成長している業界から採用支援の依頼が集まることに気づき、買取事業へ関心を持った経緯も語られました。
くっつー: なぜ人材事業から買取の事業へ進んだのですか?
森本さん: 人材の仕事をしていると、伸びている業界から採用支援の依頼が来ます。買取は伸びている業界だと感じていて、経験のある共同代表との出会いをきっかけに始めました
この話は、すべての人に同じ事業を勧めるものではありません。森本さんが、自分にない専門経験を持つ相手と組み、成長する市場へ入ったという個別の選択です。
仲介会社が持ち帰るべきなのは、テナント企業の出店数だけでなく、成長の仕組みまで聞く姿勢です。直営とフランチャイズのどちらを増やすのか、催事と常設店のどちらを強めるのかで、必要な物件と提案頻度が変わります。
出店計画を理解すると、仲介会社は目の前の一物件ではなく、次の出店まで見据えて動けます。
店舗仲介側が準備する3ステップ
出店企業へ選ばれるには、物件が出てから連絡するだけの営業を変える必要があります。次の3ステップで準備してください。
- 自社の専門領域を言葉にする
- 出店企業の条件を共通フォーマットで持つ
- 物件情報を待たずに取りに行く
1. 自社の専門領域を言葉にする
まず、どの業種・物件・エリアに強いのかを明確にします。「店舗も扱えます」だけでは、専門仲介を探す企業の相談先になりにくいからです。
飲食、美容、物販、買取、オフィスなど、業種ごとに必要設備や立地条件は変わります。最初は一つの業種や地域へ絞り、提案事例と判断基準を蓄積します。
2. 出店企業の条件を共通フォーマットで持つ
希望条件を担当者の記憶だけに置くと、物件情報が入っても提案が遅れます。
希望エリア、面積、賃料、用途、出店形態、開業時期、必須設備、見送り理由を同じ形式で更新できるようにします。条件が変わった日も残すと、古い希望で提案する事故を防げます。
3. 物件情報を待たずに取りに行く
最後に、管理会社、物件オーナー、地域の不動産会社、閉店情報へ接点を増やします。
すぐ紹介できる物件がなくても、どの企業がどのエリアで出店を考えているかを伝えておけば、退去や募集の相談が入ったときに思い出してもらえます。
店舗仲介の知識を基礎から整理したい方は、未経験から押さえたい店舗仲介の実務6領域で学ぶ順序を確認できます。
店舗仲介の専門性は、物件を見つけた後の説明ではなく、情報が出る前から誰とつながり、何を聞いているかに表れます。
よくある質問
Q店舗物件を紹介する前に出店企業へ何を確認すべきですか?
希望エリア、面積、賃料、用途、出店形態、開業時期、必須設備に加えて、条件の優先順位も確認します。
「駅から近ければ面積を妥協できる」「この日までに決まらなければ別エリアへ移る」など、見送り条件と判断期限まで分かると、候補を絞りやすくなります。
Q店舗物件探しは開業の何か月前から始めるべきですか?
店舗コマースの事業用不動産仲介サービスでは、物件探しから契約までの目安を通常1〜3か月と案内しています。
ただし、内装工事が多い業態、出店エリアが狭い場合、社内決裁に時間がかかる場合は前倒しが必要です。契約までの期間だけでなく、工事・許認可・採用を含めて逆算してください。
Qポータルサイトにない店舗物件情報はどう集めますか?
管理会社、物件オーナー、地域の不動産会社、閉店情報などへ継続的に接点を持ちます。
情報を得た後は、募集開始時期、賃料、用途制限、内見可能日を確認し、提案できる状態へ整えます。閉店情報から物件を押さえた営業工程を見ると、情報取得から案件化までの流れを具体的に確認できます。
Q多店舗企業へ物件を提案するとき、毎回1件ずつ連絡してもよいですか?
募集開始直後など急ぐ物件は、条件が合う企業へ個別に先行提案します。一方、検討時期が先の企業には、条件に合う候補を定期的にまとめる方が比較しやすい場合があります。
重要なのは、連絡回数を増やすことではありません。見送り理由を記録し、次回の提案条件へ反映してください。
Q店舗仲介を未経験から学ぶには何から始めればよいですか?
最初に、店舗物件、テナント企業、契約・法務、設備、営業、収益構造の全体像を整理します。その後、実際の物件資料と出店条件を照合し、内見・条件調整の経験を積みます。
学ぶ順序に迷う場合は、店舗仲介を未経験から学ぶための実務6領域から確認してください。
Q催事区画と常設店舗は同じ条件で探せますか?
同じ条件では探せません。催事区画では利用期間、営業時間、搬入方法、商品や備品の保管場所を確認します。
常設店舗では、長期契約、原状回復、看板、設備、地域での継続利用まで含めて判断します。最初のヒアリングで「短期の営業拠点」と「地域密着の固定店」を分けてください。
まとめ:店舗物件の提案力は公開前の情報と出店企業理解で決まる
「つなぐ屋」で催事52店舗・実店舗2店舗を運営する森本社長でも、実店舗の物件探しでは、ネットに出ていない、街で見つけても埋まっているという課題を抱えていました。
店舗仲介を行う側は、ポータルサイトの検索結果を送るだけでなく、公開前の物件情報へ接点を持ち、催事と実店舗の違い、出店企業の成長計画まで理解する必要があります。
そのうえで、見送り理由を次の条件へ反映し、一度の紹介で終わらず継続提案する。この積み重ねが、出店企業から最初に相談される仲介会社を作ります。
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