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飲食店の倒産が過去最多になったというニュースを、最近よく目にするようになりました。事業用物件の仲介をしている私たちにとって、これは正直、複雑な気持ちになる話です。
一方で、テナント仲介という仕事の現場では、この変化が確実に新しい動きを生んでいます。
この記事では、飲食店の倒産が増えている背景と、それがなぜテナント仲介の機会につながるのかという市場構造を、事業用不動産フランチャイズ「テナントの窓口」を運営するくっつーが、実務の目線で整理します。
あわせて、数字やチャンスだけでは語りきれない、仲介者として忘れてはいけない視点もお伝えします。
- 飲食店の倒産が過去最多になっている3つの要因
- 退去と入居が循環する、テナント仲介の市場構造
- 飲食店テナントを扱うときに知っておきたい居抜き・設備・重飲食のポイント
- 「チャンス」という言葉の裏にある、仲介者が持つべき視点
- 事業用・テナント仲介をこれから学びたい方
- 店舗仲介で独立や開業を考えている方
- 飲食店の倒産増加が自分の仕事にどう関係するか知りたい方
- 数字だけでなく、仲介の意義まで考えたい方
飲食店の倒産が過去最多|2025年に起きていること
まず押さえておきたいのは、飲食店の倒産がいま過去最多の水準まで増えているという事実です。なぜ増えているのかを知ると、これから紹介する市場の動きが理解しやすくなります。
2025年は飲食店の倒産件数が過去最多となり、なかでも居酒屋やラーメン店、日本料理店が目立ったと報じられています。
要因は大きく3つあります。整理すると、次のとおりです。
- 人材不足:飲食店は1人では回りません。仕込みから接客、レジまで人手が必要で、アルバイトを雇わないと成り立ちにくい業態です。その人が集まらない、集まってもすぐ辞めてしまう。
- 原材料の高騰と値上げ:食材も資材も上がり続けています。価格に転嫁すれば客離れの不安があり、転嫁しなければ利益が削られます。
- エネルギー価格の影響:原油価格の動き次第で、資材や原材料がさらに上がる懸念もあります。
不動産業は1人でもできるじゃないですか。でも居酒屋さんは、仕込みから接客、レジまで1人では無理ですよね。人を雇わないと回らないのに、その人が集まらない。集まってもすぐ辞めてしまう。給料を上げれば人件費が経営を圧迫するし、下げれば人が来ない。これは厳しいですよ
ラーメンも「1,000円の壁」と言われますよね。東京だと1杯1,000円を超えるのも普通になってきた。牛丼チェーンでも、大盛りにサラダと味噌汁をつけたら1,000円近くいくんです

牛丼チェーンでも、もう1,000円近いんですね
お客さんからすると「高くなったな」と感じますよね。値上げと客離れ、人件費と人手不足が同時に来ているのが、今の飲食店なんです
体力のある店だけが残り、弱い店が淘汰されていく流れが強まっています。これは飲食店だけの話ではなく、その店舗を扱う私たち仲介の側にも、はっきりと影響してきます。
倒産件数や生存率の数字は、ニュースや統計のタイミングで変わります。記事や商談で使うときは、最新の出典を確認してから引用してください。
なぜテナント仲介に「チャンス」が生まれるのか|市場の循環構造
飲食店の倒産は厳しい話ですが、テナント仲介の現場には、確かに新しい仕事が生まれています。その理由は、市場が循環する構造にあります。
店舗が退去すると、空き店舗が出ます。すると物件オーナーから募集の依頼が来て、新しい入居者が決まり、そこで仲介が発生します。そしてまた退去があれば、次の募集と仲介につながります。この循環があるからこそ、テナント仲介は仕事が回り続けるわけです。

言い方は難しいですが、長く続けてもらうよりも、循環してもらう方が不動産業界的には仕事になる、ということですか
すごく嫌らしい話ですけど、構造としてはそうなってしまうんです。もちろん本心は別で、入居してくれた店には長く続いてほしいし、売上が上がってほしいと思っている。ただ、こういう市場の構造があるという事実は、仲介をやるなら理解しておかないといけない
この構造を理解している会社は、飲食店に特化したサブリースのような仕組みも組み立てています。オーナーから店舗を借りて転貸し、その差益に加えて、入退去のたびに手数料が動く。なので「飲食店専門」をうたう不動産会社が一定数いるわけです。店舗仲介が事業として成り立つ理由は、【99%が知らない】店舗仲介が超儲かる理由10選でも整理しています。
テナント仲介の収益は、1件の入居で終わりません。退去と入居がくり返される循環のなかで生まれます。だからこそ、退去という出来事を、次の募集と仲介の起点として捉える視点が大切になります。
飲食店テナントの実務知識|居抜き・飲食スペック・重飲食を押さえる
「飲食店が厳しいなら、次の入居者は来ないのでは」と思うかもしれません。ところが現場の感覚では、次にやりたい人は意外と途切れません。ここを理解しておくと、仲介の提案の幅が広がります。
飲食はもっとも参入の難しい業態だからこそ、挑戦したい人が後を絶ちません。タピオカの店が抜けた区画が10年も空くわけではなく、クレープなど別の業態が入ってきます。しかも前の内装が残った居抜きの状態なら、初期コストを抑えて出店できるため、かえって決まりやすいという面もあります。
飲食はもう人・物・金がすべて必要で、いちばん大変なんです。それでも、やめた後に新しくやりたい人はちゃんと増えている。居抜きで内装が残っていれば、初期費用を抑えて始められるので、決まりやすいんですよ
飲食店テナントには、もう1つ実務上の特徴があります。賃料が高くなりやすいことです。飲食用の設備、たとえばグリストラップや油に対応した排水、十分な排気などが備わった物件は、スペックが高い分だけ賃料も高い傾向になります。

そういう設備は、後から入れられるものなんですか
入れられる場合は多いですが、超高額になるのが結論です。電気の容量を上げて、排気設備を作り直すと、何百万円もかかる。だから、どうしてもこの場所でなければという理由がない限り、もともと飲食が入っていた物件で始める方が現実的なんです
物件募集で「重飲食可」と書かれているかどうかも、仲介では重要なポイントです。重飲食可ならカレーでも天ぷらでもハンバーグでも対応できるため、ニーズが高く、賃料も高めに設定できます。こうした見極めは、住宅とは違う店舗物件ならではの専門性です。店舗仲介がなぜ専門領域として成立するのかは、【2026年最新】不動産開業は店舗仲介が最強?基準地価データが示すブルーオーシャンの正体もあわせて読むと整理しやすいはずです。
飲食用の設備は後から付けられても、費用が数百万円規模になることがあります。お客様に物件を提案するときは、居抜きの活用を前提に、設備投資の現実的な金額感まで伝えると信頼につながります。
それでも仲介者が忘れてはいけない視点|倒産の先にある「人の夢」
ここまで市場構造とチャンスの話をしてきましたが、最後に、いちばん伝えたいことがあります。
飲食店が倒産するということは、そこで働いていた人が仕事を失い、オーナーが夢を諦めるということでもあります。市場の循環を「チャンス」と呼ぶのは、本当は語弊のある言い方です。
半年前、自分で買った店舗に、スナックのママがオープンしてくれたんです。女手一つで子どもを育ててきて、息子さんが大学を卒業したから、ここからは私の人生だと言って、スナックを開いた。心の底から応援しているし、私も利用しに行きました。だから、店舗が閉まるというのは、誰かが夢を諦めるということでもある。それを「チャンス」と軽く言ってしまったのは、申し訳ないなと思っています
それでも、この市場の構造を理解しているかどうかで、仲介の意義は変わります。空いた店舗には、また新しい人の挑戦が入ります。そこで経済が回り、街のにぎわいが生まれていく。その循環の起点に立てることは、テナント仲介という仕事の価値でもあります。
市場の循環という事実と、その先にいる人の思いの両方を受け止めて仲介する。この姿勢があるかどうかで、同じ1件の仲介でも意味が変わります。数字の裏側まで理解した仲介者こそ、オーナーからも入居者からも信頼されます。
テナント仲介は、決してやさしい仕事ではありません。難しさを正面から知りたい方は【絶対やめろ】店舗不動産仲介が超難しい理由10選もあわせて読んでみてください。なお、貸主・オーナー側の視点でも、【2025年版】テナント倒産急増の理由とは?人件費・資材高騰と人手不足の深刻な現状を解説しています。
よくある質問
Q飲食店の倒産が増えると、テナント仲介の仕事は減りますか?
減るとは限りません。むしろ退去と入居が循環することで、募集と仲介の機会が生まれます。空いた店舗には別の業態が入ることも多く、仕事が途切れにくい構造になっています。
Q飲食店のテナントはなぜ賃料が高めなのですか?
グリストラップや油に対応した排水、十分な排気など、飲食用の設備を備えた物件はスペックが高く、その分だけ賃料も高くなる傾向があるためです。
Q飲食設備は後から付けられますか?
付けられる場合は多いですが、電気容量の増設や排気設備の工事で数百万円規模の費用がかかることがあります。そのため、居抜き物件を活用する方が現実的なケースが多いです。
Q「重飲食可」とはどういう意味ですか?
油や煙を多く出す本格的な調理に対応できる物件を指します。対応できる業態が広いためニーズが高く、賃料も高めに設定されやすいのが特徴です。
Qこれからテナント仲介を学ぶには、何から始めればよいですか?
まずは市場の循環構造と、飲食店をはじめとする業態ごとの特徴を理解することです。そのうえで居抜きや設備、契約の実務を学び、現場で経験を積むことが近道になります。
まとめ:飲食店の倒産が示す、テナント仲介の機会と責任
飲食店の倒産が過去最多になったいま、テナント仲介の現場では確かに新しい動きが生まれています。退去と入居がくり返される循環のなかで、募集や仲介の機会が生まれているからです。倒産のニュースを、次の仕事の起点として捉えられるかどうかが、これからの仲介者の分かれ目になります。
同時に、飲食店テナントには住宅仲介にはない専門性が求められます。居抜きの活用、飲食設備にかかる費用の感覚、そして重飲食可の見極め。これらを理解しているほど、オーナーにも入居者にも踏み込んだ提案ができるようになります。
そして忘れてはいけないのが、倒産の先には夢を諦める人がいるという事実です。市場の構造を理解したうえで、その重みも受け止めて一件ずつ向き合う。この姿勢こそが、長く信頼される仲介者をつくります。
ここまで読んでくださったあなたは、飲食店の倒産というニュースを、自分の仕事の文脈で読み解こうとしている方のはずです。
でも、市場の構造を理解しただけでは、明日の現場で使える専門性にはなりません。居抜きの見方、設備の判断、重飲食可の使い分け、サブリースの設計、オーナーへの説明——一人で体系化しようとしても、なかなか進まないものです。
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