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事業用仲介は、1件で大きな仲介手数料につながる一方で、仕事内容の全体像が見えにくい分野です。「儲かる」と聞いても、どこで案件を見つけ、誰に提案し、どう契約まで進めるのかは分かりにくいのではないでしょうか。
今回取り上げるのは、閉店情報の発見から飛び込み営業、個別リーシング、破談、そして1年後の再成約までを経て、最終的に仲介手数料176万円につながった実例です。
この記事では、店舗コマース代表・くっつーの実体験をもとに、店舗仲介がどんな流れで動くのかを時系列で整理します。
閉店情報をつかみ、3日後の飛び込み営業で物件情報を押さえるまで

最初に重要だったのは、閉店情報を早くつかんだことです。ここで出遅れていれば、その後の個別提案や成約までつながる流れ自体が始まりませんでした。
X検索で閉店情報を発見した情報収集術
2024年10月、Xで閉店情報を追っていた中で、神奈川県の駅徒歩1分という好立地の店舗が閉店したという情報を見つけました。1階にドラッグストアが入る複合ビルの一角で、立地としてかなり魅力のある物件でした。

閉店情報を見つけても、その後どう案件化するのかが一番見えにくいです
Xや開店閉店系のサイトを見ています。特別な情報源というより、見つけたあと早く動くことが大事です
閉店情報の収集先は、XのようなSNSだけではありません。開店・閉店情報をまとめているサイトなども継続的に見ておくと、案件化の入口になる情報を拾いやすくなります。
もっとも重要なのは、どこで見つけるか以上に、見つけたあとどれだけ早く動くかです。この案件では、閉店情報をつかんでから3日後には現地で動いていました。
閉店情報は公開情報です。差がつくのは情報源そのものではなく、見つけたあとにすぐ動けるかどうかです
閉店情報の集め方を広げたい場合は、閉店情報の収集方法とコツで、日常的に見るべき情報源を整理できます。
3日後の飛び込み営業で物件情報を取得
閉店情報を見つけた3日後の土曜日、建物の登記簿を取得してオーナーの所在を確認しました。幸い、そのビルの上階にオーナーが住んでいることが分かったため、直接訪問することにしました。
インターホン越しに、テナント専門の不動産会社であること、この閉店物件を紹介したいことを伝えたところ、「募集しているけれど、管理会社がいる」と言われ、管理会社の連絡先を教えてもらえました。

オーナーへ行く前に、登記簿まで確認していたんですか?
登記簿でオーナーの所在を見てから行きました。結果的に管理会社につながって、翌日には募集図面をもらえました
この時点では、まだ正式に広く募集していない状態でした。だからこそ、ネットに出る前の段階で物件情報を押さえられたのは大きかったです。
また、オーナーに一度訪問したうえで管理会社へ連絡しているため、管理会社側にも「何も分からず電話してきた人」ではなく、現場で動いている人として受け止めてもらえた可能性があります。
登記簿で事前調査をしたことと、閉店直後に動いたこと。この2つが物件情報を早くつかめた要因でした
管理会社経由で募集図面を先行入手
管理会社へ連絡した翌日、募集図面が送られてきました。まだ一般公開前の段階で、1階・2階・3階あわせて約300坪規模の案件だと分かりました。
ここで重要なのは、物件を取ったら終わりではないということです。事業用仲介では、そのあと「この物件にどんな業種が入るか」を考え、個別に提案していく必要があります。
事業用仲介は、物件情報を得たあとにどの業種へ提案するかを考えるところからが本番です
店舗仲介の営業全体を整理したい場合は、店舗仲介の営業戦略を先に見ておくと、物件取得後にどう動くかを組み立てやすくなります。
300坪物件に対して、どの業種へ提案するかを決める

この案件で次に重要だったのは、どこに募集を出すかではなく、どの企業に当てにいくかを決めたことです。ネット掲載が使えない以上、物件に合う業種を見極めて、個別に提案する必要がありました。
物件条件から入居可能業種を絞り込む
この物件は、1階にドラッグストアが入っており、2階3階を含めると約300坪の規模でした。面積、賃料、立地、既存テナントとの相性を踏まえて、どの業種なら現実的に入居できるかを考える必要がありました。

物件を取ったあとに、入れる業種まで考える工程があるのは見落としやすいです
面積、賃料、立地、既存テナントとの相性を見て考えます。この物件では100円ショップ、カラオケ、回転寿司に絞りました
この案件では、最終的に
の3業種に候補を絞っています。
ここは、誰でもすぐに同じ精度でできるわけではありません。物件面積、賃料、設備、既存テナントとの相性を見ながら、どの企業が現実的かを判断する必要があるからです。
面積、賃料、設備条件、立地、既存テナントとの相性。この5つを合わせて考えると、提案先の精度が上がります
店舗仲介で失敗しやすい判断を避けたい方は、店舗仲介で失敗するパターンで、業種選定や条件交渉でつまずく場面を先に把握できます。
15社への個別リーシングで4社が内見へ進んだ
この物件はネット掲載NGだったため、ポータルサイトに載せて反響を待つことはできませんでした。そこで使ったのが、個別に企業へ提案していくリーシングです。

ネットに出せない物件だと、反響を待つ営業では進まないんですか?
知っている担当者には直接連絡します。知らない企業でも、ホームページの物件募集窓口から提案できます
提案したのは合計15社ほどでした。そのうち、
が内見まで進みました。
この時点で分かるのは、個別リーシングは「特別なコネがないとできない仕事」ではないということです。提案の入口自体は誰でも作れます。ただし、どこへ提案するかの見極めが難しい、というのが実際のところです。
チェーン店へどう提案するかを深掘りしたい場合は、チェーン店へのリーシング方法で、提案先の探し方や当て方を整理できます。
案件単価の伸ばし方を考えるなら、店舗仲介の売上を伸ばす考え方で、どの案件に時間を使うべきかを判断しやすくなります。
提案自体は誰でもできますが、どの企業に当てるべきかを見極めるには、業種理解と物件判断の経験が必要です
4社のうち3社は物理条件で見送りになった
4社が内見まで進みましたが、最終的に3社は見送りとなりました。理由は、柱割りや設備容量など、実際に入ろうとしたときに出てくる物理条件の問題です。
たとえば、回転寿司ではレイアウトが合わない、カラオケでは設備容量が足りない、といった事情がありました。事業用仲介では、このように「興味はあるが、入れない」というケースは珍しくありません。
それでも、100円ショップ1社は申し込みまで進みました。ここでようやく契約に近づいたように見えましたが、次は条件交渉で壁にぶつかります。
一度破談になり、1年後に再交渉で成約した

この案件の特徴は、スムーズに決まったことではなく、一度破談になったあと、1年後に条件が変わって成約したところにあります。事業用仲介の現実がよく出ている流れです。
初回交渉では、賃料条件が合わずに破談
100円ショップから申し込みが入ったものの、提示された条件はオーナー希望より10数万円低いものでした。事業用では、こうした賃料交渉は珍しくありません。

内見まで進んでも、柱や設備で止まるなら契約まではまだ遠いです
そうなんです。100円ショップだけ申し込みまで進みましたが、賃料条件が合わず一度破談になりました
本来なら、2024年11月に話がまとまり、そのまま12月には契約へ進む想定でした。ですが、条件差が埋まらず、ここで止まりました。
事業用仲介では、内見や申込みまで進んでも条件が合わずに止まることがあります。ここで無理に進めない判断も重要です
物件は1年間空室のまま残った
破談後、この物件は約1年間空室のままでした。オーナーは当初の条件を崩さず、そのまま募集を続けていたそうです。

一度破談になったら終わりだと思っていました。1年後に戻ることもあるんですか?
ありました。1年後に100円ショップ側から連絡が来て、確認したら条件が下がっていたんです
この流れからも分かるように、事業用不動産では「今すぐ決まらないから終わり」ではありません。条件が合わないまま長く空室になることもあります。
1年後、条件が変わったことで再び話が動いた
2025年10月、以前申し込んでいた100円ショップ側から「まだ空いていないか」と問い合わせが入りました。管理会社に確認すると、物件はまだ空いており、しかも条件が下がっていました。
1年間空室が続いたことで、オーナー側にも変化が出ていたわけです。
ここで再度内見を実施し、条件を確認したうえで、申し込みが再スタートしました。最初に見込んでいた企業と、条件変更後に再び話がつながったことが、この案件の大きなポイントです。
一度止まった案件でも、条件やタイミングが変わると再び動くことがあります。破談した案件を完全に消すのではなく、頭の片隅に残しておくことは有効です
最終的に176万円の仲介手数料で成約
再交渉のあとは、内装チェック、申込書の再提出、契約条件の調整へ進みました。ここで時間がかかったのは、100円ショップ側が大手企業で、契約条文のリーガルチェックが厳しかったためです。

時間は長いのに、ずっと張り付く仕事ではないという感覚が少し意外です
大手企業側のリーガルチェックもありました。最終的に2026年2月に契約して、仲介手数料は176万円でした
最終的に2026年2月に契約が成立し、仲介手数料は176万円となりました。
ここで大事なのは、「1年以上かかった」といっても、その間ずっと張り付いていたわけではないことです。実際に集中的に動いていたのは、物件取得時、初回提案時、再交渉時、契約調整時の局面でした。
年月はかかっても、常に高い工数が発生するわけではありません。事業用仲介は、投入時間に対して大きな収益につながる案件があるのが特徴です
居住用仲介との違いを比較したい方は、店舗仲介と居住用仲介の違いを読むと、仕事の進め方や単価感の差がつかみやすくなります。
不動産開業の切り口で店舗仲介を検討している方は、店舗仲介で開業する考え方を読んでおくと、最初に学ぶべき実務が見えやすくなります。
事業用仲介の仕事内容を7工程で整理
今回の実例を、事業用仲介の仕事として整理すると、単に物件を紹介するだけではありません。情報を見つけ、物件を押さえ、入居できる企業を考え、条件を調整し、契約まで進める一連の流れがあります。
事業用仲介の仕事は、物件情報とテナント候補を自分でつなぎにいく仕事です。居住用賃貸のように、掲載して反響を待つだけでは進まない案件も多くあります。
| 工程 | 仕事内容 | 今回の実例 |
|---|---|---|
| 情報収集 | 閉店情報や空き予定を探す | Xと閉店情報サイトを確認 |
| 物件取得 | 所有者や管理会社へ接触する | 登記簿確認後に飛び込み訪問 |
| 業種選定 | 入居できそうな業種を絞る | 100円ショップ、カラオケ、回転寿司を候補化 |
| 個別リーシング | 企業へ個別に物件提案する | 約15社へ提案し4社が内見 |
| 内見対応 | 物理条件や設備条件を確認する | 3社は柱割りや設備容量で見送り |
| 条件交渉 | 賃料や契約条件を調整する | 一度破談後、1年後に条件変更 |
| 契約締結 | 契約書、重要事項説明、引き渡しへ進める | 2026年2月に成約 |
店舗仲介を学ぶときは、営業トークだけでなく、物件取得、業種選定、個別リーシング、条件交渉まで一連の流れで見ることが重要です。どこか1工程だけを見ても、実務の全体像はつかみにくくなります
よくある質問
Q事業用仲介の平均的な仲介手数料はいくらですか?
案件規模によって変わりますが、動画では50万〜100万円程度が一つの目安として語られています。今回の事例では、最終的に176万円の仲介手数料につながりました。
Q閉店情報はどうやって集めればいいですか?
XなどのSNSや、開店・閉店情報を扱うサイトを定期的に見るのが入口です。大事なのは情報源の珍しさではなく、見つけたあとにすぐ現地確認や所有者調査へ動けるかどうかです。
Q個別リーシングでは何をするのですか?
物件条件に合いそうな業種や企業を絞り、企業の担当者や物件募集窓口へ個別に提案します。ネット掲載で反響を待つのではなく、物件に合うテナントをこちらから探しにいく動きです。
Q店舗仲介では破談も多いのですか?
内見や申込みまで進んでも、柱割り、設備容量、賃料条件、契約条文などで止まることがあります。ただし、一度止まった案件でも、条件やタイミングが変われば再び動くケースがあります。
Q未経験でも事業用仲介の流れは学べますか?
情報収集や企業への提案窓口を探すこと自体は、未経験でも始められます。ただし、どの物件にどの業種が合うかを判断するには、業種理解や物件条件の見方を学ぶ必要があります。
まとめ:事業用仲介は情報収集・提案力・条件調整で高単価につながる

事業用仲介は、ただ物件を紹介する仕事ではなく、情報収集、物件取得、提案先選定、条件交渉を自分で組み立てていく仕事です。今回のように1年以上かかる案件でも、局面ごとに正しく動ければ大きな手数料につながります。
今回の流れを整理すると、次の5点が重要です。
店舗仲介は高単価を狙える一方で、物件に合う業種を見極める力や、企業へ個別に提案する力が必要です。まずは全体工程を理解し、どの部分を自分が強化すべきかを整理しておきましょう
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