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契約の直前になって、賃料や看板、契約書の内容を急に蒸し返される。何が起きているのかわからず、店舗仲介の進め方に不安を感じている方も多いはずです。
私は数か月前、契約の前日に、オーナー会社の株主から激怒の電話を受けた案件がありました。原因は、窓口になっていた社長だけでなく、最終的に決める株主を押さえきれていなかったことです。
この記事では、その案件で実際に何が起きたのかを時系列でお伝えします。あわせて、テナント仲介で意思決定権者を押さえるために確認する3点と、言うべきことを言う姿勢も整理します。
- 契約直前に条件を蒸し返される案件の実際の流れ
- 窓口の社長だけでは話が決まらない理由
- 契約前に確認したい意思決定権者とスケジュールと合意の時期
- 住宅仲介でも店舗仲介でも決裁が止まるパターン
- お客さんが相手でも言うべきことを言う理由
- テナント仲介で開業したい方や、始めたばかりの方
- 申込書が出たのに決裁が下りず、案件が止まった経験がある方
- 貸主と借り手の間に挟まれて、強く言い出せない方
契約直前に賃料も看板も蒸し返された店舗仲介の案件

契約直前に賃料も看板も賃貸借期間も蒸し返され、順調だった案件が一気に崩れかけました。
製造メーカーの空き店舗にインドアゴルフ会社が決まった
数か月前にあった案件を、実際の流れに沿って振り返ります。
今回は、またトラブルが起きた話をします。前回の動画に続くパート2です

またですか?前にも何か起きていませんでしたか?
そうなんです、今回は意思決定権者を押さえきれず、大ごとになった案件です。私が仲介として学んだことをお伝えします
オーナーは中小企業の製造メーカーで、持っている不動産の店舗が空いたため、テナントを付けてほしいと相談を受けました。私たちの会社は店舗不動産やテナント仲介でSEOに力を入れていて、ホームページ経由の問い合わせでした。
テナントを誘致すると、サブスク型のインドアゴルフの会社が手を挙げてくれました。オーナーも喜んでくれて、賃料などの条件と賃貸借契約の内容を詰め、契約までスムーズに進んでいました。
賃料アップから看板や賃貸借期間まで条件が次々に蒸し返された
契約の2週間ほど前、オーナーの社長から「会社で話し合った結果、賃料を上げてもらえないと困る」と連絡が入りました。対応したのは当社の社員で、賃料条件を固めた上で契約に進んでいたため、急な話でした。
借り手のインドアゴルフの会社に相談すると、賃料を少し上げる形で受け入れてくれました。社員とインドアゴルフの会社はすっかり仲良くなり、これで進めようとまとまりました。
ところが契約の1週間ほど前に「看板の計画を聞いていない。出してもらえないと契約できない」と言われます。看板の図面はすでに出していました。
さらに賃貸借期間まで変えてほしいと求められ、詰めてきた条件が根底から崩れました。あとからあとから話が出てきて、借り手のインドアゴルフの会社も私たちも疲弊しました。契約書の交渉が大変になる理由は、店舗不動産仲介が難しい理由でも紹介しています。
激怒の電話の原因は社長が株主の了承を得ていなかったこと

契約前日の激怒の電話は、窓口の社長が株主の了承を得ないまま話を進めていたことが原因でした。
Web面談で怯えていた社長と同席した株主
ここで私が間に入り、もう一度Web面談を開きました。製造会社の社長に加えて、社長がもう1人連れてきたのが、のちに株主だとわかる方です。
どこに納得いただけないのかを私が詰めると、社長はとても怯えている様子でした。同席した方が、看板の件は聞いていないのでこうしてもらわないと困ると強く求め、その場で条件を調整して契約前日を迎えます。
契約前日の夜に株主から届いた激怒の電話
契約の前日、今度は社長から「入金を明日中にしてほしい。明日振り込まれないとうちはできない」と連絡が入りました。契約書にはそうは書かれていませんでしたが、入金を急ぐよう求められました。
その日の夜19時ごろ、株主から私に電話が入りました。「そんな会社に任せて大丈夫なのか」と、激しく叱責されました。

そんなやばいことがあったんですか?
そうなんですよ、私でも喧嘩するんです。思いを押し込めずに伝える派ですので、契約前日の電話ではかなり言い合いました
私も、御社の社内の確認不足ではないかと反論しました。事前にメールでお伝えしている内容のため、おかしいと思うならメールを遡って確認してほしいとも伝えました。
雇われ社長は株主の了承を得ないまま進めていた
お互いに落ち着いて話すと、電話の相手は中小企業の株主でした。窓口だった社長は雇われ社長で、株主の了承を得ないまま話を進めていたため、株主に話が届いていなかったのです。
会社は社長が偉いわけではなく、最終的には株主のものです。
社長が窓口でも、会社の最終的な意思は株主が持っていることがあります。今回は雇われ社長で、株主の了承がないまま話が進んでいました。
原因が株主の確認不足だとわかると、あれだけ言い合った相手が「いい人だった」と互いに打ち解けました。私も言いすぎたことを謝り、きちんと解決しようと話しました。
その後、私は社長にも電話をして、社長はあなたなのだからしっかりしてほしいと伝えました。翌日の契約は問題なく終わりましたが、この案件だけでかなり神経をすり減らしました。
住宅でも店舗でも意思決定権者を押さえないと契約は止まる

仲介では、気に入ってくれた本人ではなく、最終的に決める人を押さえておかないと契約が止まります。
契約や購入を最終的に決める権限を持つ人のことです。窓口の担当者や、内見に来た本人とは限りません。
住宅の購入でも家族の反対で止まることが多い
家を買いたいと言っていても、親御さんや奥様が「この家は今買うべきではない」と反対して、断念するという話をよく聞きます。内見に来て気に入ってくれた人のほかに、決める人がいるからです。
私自身も、家を買おうと見に行った物件を、家族に言われてやめた経験があります。住宅の仲介なら、奥様やご両親に確認しましたかと聞くことが欠かせません。
大手チェーンの申込書でも決裁が下りないことがある
テナント仲介では、この問題がさらに多く起きます。大手チェーン店が出店の申込書を出すとき、書いて送ってくるのは担当者です。
申込書が届くと「この会社で決まりそうだ」と気持ちが高ぶります。ところが結局、決裁が下りなかったということがあります。
気に入ってくれた本人とは別に、決める人がいないかを先に確認します。
決める人は、会社の社長や株主、社内の会議体です。担当者から届いた時点で行けると思って進め、意思決定権者や会議体を押さえていなかったのは、私自身の責任だと考えています。
契約前に確認する3つのこと
テナントの仲介はBtoBであるため、決める人が見えにくいことがよくあります。この経験から、私は次の3点を前よりしっかり押さえるようになりました。
- 意思決定権者が誰か
- どんなスケジュールで進むのか
- 会社としての合意が出るのはいつか
申込書が届いても、会社としての合意が出るまでは決まっていません。契約の日程だけでなく、合意が出る時期まで押さえます。
お客さんが相手でも言うべきことは言う

仲介は間に挟まれて弱い立場になりがちですが、お客さんが相手でも、言うべきことは言うことが大切です。
ペコペコしていたら責任を負わされていた
あの場で私がペコペコと謝っていたら、原因が見つからないまま、当社の責任になって終わっていたと思います。「言っているはずだ」と反発したからこそ、原因が見つかり、うまくまとまりました。
貸主と借り手に挟まれる立場でも主張を伝える
仲介は借り手と貸主の間に入るため、貸主から見ると「やってほしい」「うまく調整してほしい」と頼む相手になり、立場はどうしても弱くなります。それでも、自分たちがやっていることは正当に伝えることが大切です。
お客さんが相手でも、お客さんに非があると思えば、自分の考えをきちんと主張します。
今回も、言うべきことを言ったあとで、株主とはとても仲良くなりました。ちゃんと言えば、関係が壊れるどころか、仲良くなれると感じています。
窓口の担当者だけで判断せず、決める人を先に押さえます。そのうえで、必要なことは相手がお客さんでも率直に伝えます。
よくある質問
Q契約の直前に条件の変更を求められたら何をすればよいですか?
私は関係者でWeb面談を開き、どこに納得いただけないのかを直接聞きました。同席した株主が看板の件を強く求め、その場で条件を調整しました。
賃料や看板、賃貸借期間と条件の変更が続くときは、窓口の方のほかに、決める人がいないかを確かめます。
Q窓口の社長のほかに決める人がいるかどうかはどう見分けますか?
今回は、社長の話が何度も変わり、面談では社長が怯えていました。社長以外の決める人が同席して初めて、本当の条件がわかりました。
話があとから次々に出てくるときは、社長の先に決める人がいないか、面談の場で確かめるとよいです。
Q住宅の仲介でも意思決定権者の確認は必要ですか?
必要です。家を買いたい本人が気に入っても、親御さんや奥様が反対して断念することが多いからです。
仲介の立場では「奥様に確認しましたか」「ご両親に確認しましたか」と、決める人を早めに確かめます。
Qお客さんに言うべきことを言うと関係が悪くなりませんか?
私の案件では、言い合ったあとで私も言いすぎたことを謝り、株主とは仲良くなりました。私が反発して言うべきことを言ったからこそ、原因が見つかり、うまくまとまりました。
立場が弱くなりがちな仲介だからこそ、必要なことは率直に伝えます。
Q申込書が届いたら何を確認すればよいですか?
申込書を書くのが担当者でも、決めるのは社長や株主、社内の会議体です。意思決定権者が誰か、どんなスケジュールで進むのか、会社としての合意が出るのはいつかを確認します。
大手チェーン店の申込書でも、決裁が下りなかったことがあります。
まとめ
契約前日に揉めた原因は、条件の細かな食い違いではなく、窓口の社長の先にいる株主の了承を確認できていなかったことでした。Web面談で決める人と直接話し、言うべきことを言ったことで、翌日の契約まで進められました。
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